Interview

選ばれる理由
「実装」にとどまらないパートナーへ。i3DESIGNとFLATが築いた、対話から生まれる開発協業の形のサムネイル

株式会社i3DESIGN「実装」にとどまらないパートナーへ。i3DESIGNとFLATが築いた、対話から生まれる開発協業の形選ばれる理由

株式会社i3DESIGN

株式会社FLATはこれまで、さまざまなパートナー企業と協業しながら、多くの開発を支えてきました。

本記事で紹介するのは、開発・デザインを手がける株式会社i3DESIGN(以下、i3DESIGN)との協業事例です。イベント管理SaaSのリプレイス開発、そして金融系サービスにおけるアプリケーション開発、いずれのプロジェクトにおいても、FLATは単なる実装担当にとどまらず、技術選定や設計、プロジェクト全体を見据えた提案まで踏み込んだ関わり方を行ってきました。

「何かあったらFLATさんに相談しよう」。
i3DESIGN社内でそうした声が自然と上がるようになった背景には、フロントエンドの技術力だけでなく、コミュニケーションを重ねながらより良いプロダクトを共につくろうとする「対話力」があります。

本事例では、両社がどのような課題に向き合い、どのような価値を生み出してきたのかを、i3DESIGN側・FLAT側それぞれの視点からお伝えします。

(写真右から)株式会社i3DESIGN 執行役員 エンジニアリング担当 西尾智春様、同執行役員 ソリューションアーキテクト 久保星哉様、ゼネラルマネージャー平光蔵様 / 株式会社FLAT 代表 サトウハルミ、Webアプリケーションエンジニア 飛田心、エンジニアリングマネージャー 伊藤将貴

中長期での継続を前提に始まった両社の協業

——はじめに、FLATとの出会いを教えてください。

西尾:前職で一緒に仕事をしていた知人からご紹介いただいたのが出会いです。
私たちは普段からさまざまなパートナーと協業していますが、当時は特にフロントエンドに強いパートナーを探していました。
知人にその話をしたところ「FLATさんが合うかもしれない」と言われ、実際につないでもらったのが、今から1年半ほど前の話です。

——初めて一緒にプロジェクトを行うことになった経緯を教えてください。

西尾:当社では常に複数の案件が動いているので、まずはFLATさんの強みを生かしてもらえそうなところから一緒にスタートできればと考えていました。
ちょうどそのタイミングでとあるクライアントから新規案件の相談があり、プロジェクト全体を見渡せるフロントエンドのリードエンジニアが不足していたので、「この部分をFLATさんにお願いできないか」とご相談しました。

——打ち合わせ当初の印象はいかがでしたか?

サトウ:ご紹介くださった方がi3DESIGNさんのことをよく理解していらっしゃる方で、とても丁寧につないでくださっていたので、不安はありませんでした。
初めてお話ししたときから、「ぜひ一緒にお仕事ができたらいいな」と自然に思えたのを覚えています。

西尾:当社としても、最初から「ぜひパートナーとしてご一緒できれば」という気持ちでしたね。
Webだけでなく、React Nativeを使ったアプリ開発なども含めて、今後いろいろな形で協業できるのではないか、という話もしていました。

サトウ:FLATはフロントエンド領域に特化している点に加え、対話力を強みとしています。
だからこそ、「どんな形なら一緒に価値を出せそうか」という対話からスタートしました。
単に作業を請けるのではなく、パートナーとしてどう関われるか。その前提をすり合わせられたことが、最初の大きなポイントでした。

事例1.イベント管理SaaS開発:クライアントからいただいた高水準のNPS。「他社にも推薦したいパートナーだと思った」

——パートナーとして取り組みを始めてから、これまでに2つの案件を進めてきました。まずは「イベント管理SaaS」の案件について教えてください。

西尾:クライアントからのご相談は、既存で運用していたイベント管理SaaSをリプレイスしたい、というものでした。
当社にはデザイナーも在籍しており、全体を俯瞰した支援ができる一方で、そのタイミングではフロントエンドを技術的にリードしてくれるエンジニアが不足していました。
そこで、その役割をFLATさんにお願いしました。

——プロジェクトはどのような流れで進んでいったのでしょうか。

飛田:まずは既存の構成をしっかり把握するところから始めました。
そのまま流用できる部分と、今後を見据えて整備し直したほうがいい部分を見極めたうえで、開発の方針を整理し、提案しました。
実装が完了したあとも少し時間があったので、次の開発フェーズでも同じ考え方や設計を引き継げるよう、ドキュメントを整備してからリリースまで牽引しました。

——プロジェクトを通して、特に印象に残っていることはありますか。

久保:クライアントからは中長期での伴走を望まれている中で、まず今回FLATさんには、チャット機能を実装するフェーズをお願いしていました。
「チャット機能の実装が完了し次第、次のプロジェクトに引き継ぐ」という前提があったからこそ、新しい技術をただ入れて終わる、ということは避けたいと思っていました。

現在使われている技術や、その後エンドクライアントが運用できるかどうかを見極めつつ、どこまで新しい技術を入れると効率的になるのか。
その両面を見ながら、ちょうどいい落としどころを探っていきました。
正直、既存システムや技術はかなり古かったので大変だったと思いますが、そのあたりはどうでしたか?

飛田:限られた期間の中で、既存のシステムや技術を前提に進める必要があったため、現実的な制約を踏まえつつ、「やらないことを決める」という判断も織り込みながら進めていました。

——たとえば、どのような判断がありましたか?

伊藤:私たちが新しいルールで実装すると、その後に残るクライアント側のエンジニアの方たちは、そのルールに乗らないといけなくなります。
それが本当に適切かどうか常に考えていました。加えて、決められた期間の中で将来の技術的負債を増やしてしまわないか、という点も意識していました。

飛田:たとえばスタイリング手法についても、UIライブラリの採用を検討しましたが、
全体の制約や影響、既存資産の活用、運用コストを踏まえ、最終的にはCSS Modulesを採用するという、バランスを意識した判断を行いました。

——プロジェクトを進めるうえで、特に意識していたことを教えてください。

飛田:言われたものをそのまま実装するだけではなく、プロジェクト全体として技術的により良くなる提案をすることを意識していました。
限られた期間でも手を止めずに価値を出し続けて、次のプロジェクトにつながるような貢献をしたい、という思いがありました。

——本プロジェクトを通して得られた成果について教えてください。

西尾:社内でも、クライアントからの評価がとても高かったのが印象的でした。
プロジェクト終了後にご提出いただいたNPSの水準も高く、経営会議の場でも「良いプロダクトになった」というフィードバックが共有されました。

具体的には、「MVPの範囲をきちんと確定できた」「最終的に納得のいくものができた」といった声や、テストコードが整備されていて後から見ても分かりやすい、という評価がありましたね。
このプロジェクトをきっかけに、社内では「FLATさんっていいよね」と自然に名前が挙がるようになり、「何かあったらまずFLATさんに相談しよう」という空気が生まれています。

事例2.金融系サービスのアプリケーション開発:クライアントからいただいた「飛田さんを信頼している」の言葉

——続いて「金融系サービスのアプリケーション」の案件ご依頼の背景を教えてください。

平:とある金融機関のグループ会社から、「今後AIを活用したサービスを検討したい」という相談をいただいたのがきっかけでした。
まずは3か月で試験的に取り組みたい、というお話でした。開発手法もアジャイルで進めたいという要望がありました。

今回もフロントエンドが非常に重要になる案件だったので、ちょうど直前のプロジェクトが終わったタイミングだったFLATさんに「この件もお願いしたい」となりました。
社内で「どのパートナーに依頼をするか」という話になったとき、自然にFLATさんを提案していましたね。

——プロジェクトはどのようなプロセスを経て進んでいきましたか。

飛田:本案件は現在も進行中で、今後も長期的にご支援していく予定ですが、開始から最初の3か月間は、「お客様に実際に触っていただける成果物を提供すること」を最優先事項として取り組みました。
特に初月については、動作するアプリケーションとして早期に形にすることが求められていたため、短期間での立ち上げを前提とした集中的な対応が必要となりました。

平:そのスタートダッシュの中で、飛田さんはとても視座高く動いてくれました。よくあるパートナー像だと、
「指示されたものをそのまま作る」という関わり方になりがちですが、飛田さんは積極的に枠を越えて関わってくれた印象があります。

それができるのは、ビジネス全体に対する解像度が高いからこそだと思っています。
たとえば、同じミーティングに積極的に参加して一次情報を取りに行ってくれたり、こちらが作ったデザインをただ実装するのではなく、意図を汲み取ったうえで、さらに良くするための提案をしてくれたり。
フロントエンドを強みとしているからこそ、デザインへのリスペクトがある点も、とてもありがたかったですね。

——プロジェクトを進めるうえで、意識していたことや工夫していた点はありますか。

飛田:金融サービス特有のルールや進め方を理解することが重要だと感じていたので、キックオフから参加させてもらい、できるだけ直接コミュニケーションを取るようにしていました。

平:クライアントの先にいるエンドユーザーがどんな視点でアプリを使うのか。また、現場で働く人たちがどのように業務を回しているのかまで理解したうえで進めてくれていました。
パートナー企業は立場上「お客様の要望」に引っ張られがちですが、飛田さんはたとえ要件から少し外れたとしても、「エンドユーザーにとって何が一番良いか」という軸で提案してくれたのが印象的でした。

飛田:一方で、技術的な観点ではチャレンジングな点も多くありました。
利用ユーザー数が多いことを前提とした設計が求められており、性能面に対する要求水準も高かったため、自身にとってはこれまで経験の少ない技術領域に踏み込む必要がありました。
その差分を埋めるため、関連技術や設計思想のキャッチアップには特に注力しました。

——本プロジェクトを通して得られた成果について教えてください。

久保:現在進行中のプロジェクトなので、最終的な振り返りはこれからですが、既存の古いシステムを将来的にAIへ置き換えていくための最初の一歩としてはとても良い取り組みになっていると思います。

西尾:飛田さんは常に現状に満足せず、「もっとこういうことができるのでは」という提案をしながら進めてくれました。その姿勢が、このプロジェクトの価値を大きく高めていると感じています。

平:ここまでのお客様からの評価も非常に高いです。
今回のお客様は皆さんエンジニア出身の方々なのですが、そうした方々からバイネームで「飛田さんを信頼している」と言ってもらえていること自体が、この案件における大きな成果だと思っています。
全体を通して、FLATさんは、求めているレベル感や意図をしっかり理解し、体現してくれるパートナーだと感じています。

久保:私たちは「作って終わり」の仕事は基本的にせず、リリースをスタート地点として、そこからどう世の中に広げていくかを重要視しています。
飛田さんは外部のパートナーでありながら私たちと同じ目線を持ち、一緒に取り組む当社のメンバーが成長するようなフィードバックもしてくれる。
その関わり方にはとても感謝しています。今後も第二、第三の飛田さんのような存在と、長く一緒に取り組んでいけたらうれしいですね。

丁寧な対話を通じて、“ベストな形を世の中に届ける”をともに。

——今後FLATとご一緒いただける機会があるとすれば、どのような期待を寄せていただけますか。

西尾:まずは、これまでご一緒してきた領域にとどまらず、案件の幅を広げていきたいですね。
フロントエンドといっても、Webだけでなくさまざまな形がありますし、業種も多様です。これまでの案件で取り組んできた領域に限らずチャレンジしていきたいです。

また今後は、一部を一緒に進めるだけでなく、まるっと持ち帰ってもらうような形も出てくると思います。
いろいろな組み方ができるイーブンな関係を築き、両社がスケールできる方法を考えていきたいですね。

サトウ:今回改めてお話を聞いて、i3DESIGNさんがどのような考えでFLATに依頼してくださっているのか、これまでとは少し違った視点で捉え直すことができました。
プロジェクトの中では、こちらがリードさせていただいている部分もあれば、逆にi3DESIGNさんにリードしていただいている部分もあり、常に対話しながら進められている感覚があります。

今後開発の現場はさらにAI活用へとシフトしていくと思っています。だからこそ、FLATとしては「AIをきちんと使いこなせるフロントエンド」である必要がある。
その一方で、最後まで人間に残る価値は、顧客と対話しながら、本当に良いものを一緒に描いていく力だとも感じています。
プロジェクト全体のデザインや、私たちがリードしきれない部分も含めて、より深く一緒に考え、対話できる関係性を強めていきたいです。

西尾:どれだけAIが発達しても、「思い描く」という行為は人間にしかできないことだと思っています。
システムにおいてもデザインにおいてもツールはどんどん進化しますが、描いている世界観を共有しながら、より良いものをつくっていくことは自動化できません。

その意味で、お互いが描いているものを丁寧にすり合わせながら、クライアントも含めてベストな形をつくっていけたらうれしいですね。
それをきちんと具現化し、世の中に届けていくところまで、一緒にやっていけたらと思っています。

——今回2案件の中心となり推進した飛田さんは、今後i3DESIGNさんにどのような価値貢献をしていきたいと考えていますか。

飛田:フロントエンドは依頼する側から見ても価値が分かりやすい領域だと思いますし、今後もそこは変わらず強みとして磨いていきたいです。
一方で、フロントエンドだけだと価値を出せる範囲が限られるとも感じています。

今後はバックエンドやインフラといった領域にも関わりながら、プロジェクト全体により広く貢献できる存在になりたい。
ゆくゆくは、そうした領域でもリードできる立場を目指していきたいと考えています。

久保:私たちは、パートナーだから、社員じゃないから、という区別はあまりしていません。
パートナーの皆さんには、提案も、技術を磨くことも、「作って終わり」にしないことも、すべて同じスタンスで向き合ってほしい。
その点でFLATさんは、「作ってください」「分かりました」で終わらない非常に信頼できるパートナーです。
これからもそうした関係性で一緒にものづくりができることを期待しています。

協業を通じて築かれてきた信頼と対話の積み重ね。その延長線上に、FLATとi3DESIGNが描く次の挑戦があります。
株式会社FLATはこれからも、立場を超えたパートナーとして、より大きな価値創出に向けて歩みを進めていきます。

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