Interview

株式会社ブロードエッジ・ウェアリンク組織をも前に進める伴走者へ。ブロードエッジ・ウェアリンクとFLATが描く、共創型開発の現在地選ばれる理由
株式会社FLATはこれまで、さまざまな企業と協業しながら、技術支援にとどまらない開発パートナーとしてプロジェクトを支えてきました。
本記事でご紹介するのは、ワインを軸に多角的な事業を展開する株式会社ブロードエッジ・ウェアリンク(以下、ブロードエッジ・ウェアリンク)との協業事例です。
診断やカルテで自分の好みのワインが見つかるワインECサイト「WINE@」(以下、WINE@)のリニューアルを皮切りに、飲食店向けワインの発注・在庫管理シスム(以下、ワイサポ)の開発にも携わり、約2年にわたり伴走しています。
既存プロダクトの刷新という難易度の高いプロジェクトにおいて、FLATはフロントエンドの専門性を発揮しながら、
開発基盤の再整備やスクラム体制の強化、さらにはチームビルディングにも踏み込んできました。
単なる実装担当ではなく、「プロダクトをどう進化させるか」「組織をどう前に進めるか」を共に考える存在として関わっています。
本事例では、プロダクトの変化とチームの進化、そして今後の展望について両社に聞きました。

OMO構想の実現へ。リプレイスの壁と、フロントエンド強化という課題
——はじめに、御社の事業内容について教えてください。
河村:当社は、ワイン好きのためのグルメサイト「WINE@」をはじめ、
飲食店向けの卸販売およびワインの貸し出しサービスを展開する「WINE CLOSET」、
そして体験型ワインショップ&バー「Wine@EBISU」を運営しています。
オンラインとオフラインの双方から、ワインをより身近に、より深く楽しんでいただけるサービスを提供しています。
——ご依頼のきっかけについてお聞かせください。

河村:「WINE@」は2022年にサービスを開始しました。
オフラインのワインバーで実際に飲み比べをしていただき、その場で気に入ったワインをECサイトで購入できる、
いわゆるOMO(Online Merges with Offline:オンラインとオフラインの融合)のコンセプトを実現してきました。
一方で、ECサイトとしてのユーザー体験にはまだ改善の余地がありました。
そこで他社様とサイトリニューアルを進め始めたのですが、費用感やスケジュール感がうまく噛み合わず、プロジェクトが思うように進まない状況が続いていました。
また、社内のフロントエンドの体制も十分とは言えませんでした。
というのも、Shopifyで構築していたECサイトをShopify提供のReactフレームワーク「Hydrogen React」へリプレイスし、
よりカスタマイズ性の高いヘッドレスコマースサイトへ移行したいという構想があったのですが、
私たち自身がHydrogen Reactに十分習熟しているわけではなかったのです。
そこで、Reactに強く、かつフロントエンド開発に精通したパートナーを探すことになりました。
——パートナー企業の選定はどのように進められたのでしょうか。
河村:FLATさんを含め、3社にお声がけしました。
費用感やスケジュールの現実性に加え、技術スタック、そしてコミュニケーションの相性といった観点で比較検討しました。
その結果、総合的に見てFLATさんが最適ではないかという結論に至りました。
——ご相談を受けた当時、FLATからの印象はいかがでしたか。
伊藤:最初は「リプレイス開発を進めているが、なかなかうまくいっていない」というご相談をいただきました。
早い段階からHydrogenについても具体的なお話をうかがい、FLATが専門的に取り組んできたReactの知見が活かせると感じました。
技術スタックとしての親和性も高く、十分にお力になれると感じました。
既存基盤を活かした再設計。2年間の伴走で築いた開発と組織の土台
——制作はどのようなプロセスを経て進んでいきましたか?
伊藤:お取り組み開始から、約2年間ご一緒させていただいており、
前半の1年間は「WINE@」オンラインストアのリニューアル、後半は「ワイサポ」の開発を担当しています。
「WINE@」のプロジェクトに参画した時点で既存のECサイトが存在し、前任のパートナー企業様が一部リプレイス開発を進めている段階でした。
そこへ新機能や新たな設計思想を加えていくには、単純に上に積むだけでは不具合や非効率が生じる可能性がありました。
そのため、まずは現状の技術基盤を丁寧に把握していきました。
「どの範囲を、どれくらいの期間で整理すべきか」「今やるべきことと、後回しにできることは何か」といった優先順位を明確にし、土台から着実に整えていきました。

——“土台”とは、具体的にどのような部分を指しますか。
伊藤:コードレベルでのリファクタリングに加え、CI/CD環境の整備や静的チェックの導入、実装方針の再定義など、開発基盤全般です。
使用ライブラリの見直しも含め、将来的な拡張を見据えた構成へとアップデートしました。
ただし、すべてを一度に刷新するのではなく、あくまで今後の機能開発に必要な範囲に絞って対応しています。
影響の少ない部分は後回しにし、最短期間でリリースすることを重視しました。
河村:印象的だったのは、技術面だけでなくチームづくりにも力を尽くしていただいたことです。
当社では初めてスクラム開発に挑戦していましたが、
求めるレベルと当時のチームの実力との間にギャップがあり、組織そのものを立て直す必要がありました。
FLATさんにはそのタイミングから伴走していただき、まさにチームの土台を作っていただいたように思います。
特に、信頼関係の構築という見えにくい部分を丁寧に進めてくださったことが心強かったです。
——信頼構築において、FLATとして意識していた点はありますか。
伊藤:信頼を得るために、まず意識していたのは「約束した成果をきちんと出すこと」です。
プロジェクト参画当初は、ご依頼いただいていた機能や画面を、期限内に確実に形にしようと集中しました。
いきなり体制やプロセスの改善を提案するのではなく、まずは目に見えるアウトプットを積み重ねる。
その結果として「任せても大丈夫だ」と思っていただける状態をつくることを大切にしていました。
そうして一定の信頼をいただいた段階で、初めて開発体制や進め方に関する提案にも踏み込んでいきました。
河村:プロジェクト開始時はメンバーの出入りも多く、組織が安定するまで時間がかかりました。
その中で、FLATさんは常に安定したパフォーマンスを発揮してくださり、
「FLATさんがいれば大丈夫だ」という安心感がチーム内に生まれていました。
特に印象的なのは、コミュニケーションのハブとしての存在感です。
6〜8名規模の混成チームでリモート開発を行う中、毎朝のミーティングでも積極的に発言し、
業務委託パートナーとの間に立って調整役を担ってくださいました。
伊藤:パートナー企業と業務委託が混成するチームでは、遠慮からコミュニケーションが滞ってしまうシーンもあります。
そうした場面であえて声を上げ、議論を促す。いわば潤滑油の役割を担うことも、私たちの重要な価値だと考えています。
単に開発ができる会社ではなく、プロジェクトと組織を円滑に前進させる存在でありたいと思っています。
プロダクトの進化を支えた、専門性と組織への深いコミットメント
——本プロジェクトを通して、どのような成果が得られましたか。
河村:まずは、サイト構成をヘッドレスへ移行できた点です。
これにより、従来のテーマやテンプレートの制約から解放され、機能面・UI面ともに自由度が大幅に向上しました。
ECの情報設計や導線を、既存仕様ありきではなく要件起点で再設計できるようになったのは大きな変化でした。

河村:また、検索や絞り込み、複雑な診断ロジック、パーソナライズといった要件も、
UIと一体で設計・実装できるようになりました。結果として、より私たちらしい体験設計が可能になったように思います。

河村:「WINE@」は、お客様が直接触れるアプリケーションです。
もともとは恵比寿の店舗に来店された方へ「まずはアプリを触ってみてください」という導線を設けていましたが、
操作性や体験の分かりづらさに課題がありました。リニューアル後はその負を解消でき、
お客様からも、ワイン選びをサポートするスタッフからも「使いやすくなった」「接客がしやすくなった」という声をいただいています。
——これまでの取り組みを通して、FLATに対し特に評価している点はありますか。
河村:開発面での専門性はもちろんですが、それ以上に「組織づくり」に踏み込んでくれている点を高く評価しています。
期間中、スプリントごとの振り返りがうまく機能しない局面もありましたが、
FLATさんは抽象論で終わらせず、具体的な改善案を提示し、フィードバックも明確に行ってくれました。
未達の週があっても、「次にどう改善するか」にチーム全体で向き合える状態をつくってくれたと感じています。
——外部パートナーとして、組織課題に踏み込む難しさはありませんでしたか。
伊藤:正直に言うと、難しさはありました。混成チームだったため、関わってくれているメンバーの発言の背景や内容、温度感はそれぞれ違っていました。
そこで、それぞれの発言の意図を読み取りながら、議論がかみ合うように交通整理をしていきました。
加えて、自分はあくまでも外部パートナーであるという点も意識していました。
どこまで踏み込むべきか、どう伝えれば前向きに受け取ってもらえるか。
個人の課題として片付けず、仕組みや組織のなかにある課題なのだと捉え、チームとしてのより良い着地点を探っていきました。

河村:そのような意識を持ちながらも、実際に取っていただいた動きは社員同様だったと感じています。
足りない部分があれば「ここは入りましょうか」と自発的に提案してくれ、率先して動いてくれる。
私たちが求めていたパートナー像そのものだと感じています。
ワイン体験をより多くの人へ。変化の中で共に歩むパートナーに求めるもの
——ブロードエッジ・ウェアリンク様の今後の展望についてお聞かせください。
河村:私たちの理念の根底には、「『ワインは難しい飲み物』という印象を、もっと分かりやすく楽しい体験に変えていきたい」という思いがあります。
現在は東京近郊でのサービス展開が中心ですが、「WINE@」「ワイサポ」ともに利便性が向上すれば、全国への展開も十分に視野に入ります。
より多くの方にワインを楽しんでいただける環境をつくっていきたいと考えています。
また、恵比寿の店舗もリニューアルを予定しており、中心にAIを据える設計へ進化させたいと構想しています。
リアル店舗においても、テクノロジーを活用することで体験価値をさらに高めていきたいと思っています。
——AIの進化によって、パートナー企業に求める役割に変化はあるでしょうか?
河村:私たち自身もAIの進化をキャッチアップしていますが、
「使いこなす」という点では、パートナー企業にはさらに一歩先を行っていてほしいと期待しています。
今後、開発効率は格段に上がりコードを書く量も減っていきます。
AIによってアウトプットのスピードと精度が高まる中でエンジニアに求められるのは、
その前段階である「何をつくるべきか」を深く理解する力だと考えています。
プロダクトの先には必ずユーザーがいます。
その利用シーンをこれまで以上に具体的に想像し、適切な形でAIを活用していく。
そうした力が、今後ますます重要になるのではないでしょうか。
サトウ:AIの急速な進化によって、エンジニアの役割は確実に変わっていますし、変化のスピードは今後より加速していきます。
その中で変わらないものがあるとすれば、「対話」だと感じています。
これまでのエンジニアの仕事は、仕様を受け取り、それをどう実装するかが中心でした。
一方今後は、実装の多くはAIが担う時代になっていきます。
だからこそエンジニアには、形になっていないものを言語化し、関係者と対話しながら構想を磨いていく力が重要になると考えています。
FLATがこれまで大切にしてきた、技術とビジネス、論理と感情のバランスを取りながら判断できる力は、今後ますます価値を持つはずです。
技術の変化には柔軟に適応しつつ、お客様との関係性をより深めていきたいと考えています。

——引き続きご一緒させていただく中で、FLATにどのような期待をお持ちでしょうか。
河村:実は、まったく新しいことを期待しているわけではありません。
これまで積み重ねてきた姿勢を、そのまま延長線上で続けていただければ十分だと思っています。
開発力はもちろんですが、チームビルディングへの関与は今後も欠かせません。
組織は常に変化し、メンバーのコンディションやライフステージも移り変わります。
その中で、プロジェクトが安定して前進し続ける状態をともにつくっていけることを、これからも期待しています。
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